Feb 27, 2009

看護師求人には比較的良いことがあります

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 ◇機体とともに引退へ

 日本航空は、ボーイング747など全機退役を迎える機種について、所有する乗員訓練用のフライトシミュレーターも引退させることにしている。このほど、東京・羽田空港内の同社訓練施設で、「引退」を前に稼働するシミュレーターの様子を取材することができた。

【ジャンボやA300、鶴丸マークの767、引退したMD81 シミュレーター一挙公開】

 「けっこう激しい動きでしょう」。案内を受け、廊下から広いホールを見る。訓練中のシミュレーターが上下左右に忙しく細かく動いている。確かに、想像よりずっと激しい挙動だ。本体を支える何本もの支柱がせわしなく伸び縮みする。5メートル四方程度のシミュレーター本体に対し、それを納めるシミュレーター室は15メートル四方、高さも吹き抜けで10メートル近い広さを確保している。見ると、本体が大きく前のめりに傾いた。これで室内の体感は「減速」になっているという。

 同センターでは、2010年末現在、18台のシミュレーターが稼働。管理を子会社のJALシミュレーターエンジニアリングに委託し、約120人のエンジニアらが24時間体制でメンテナンスに当たっている。退役予定また退役済みのボーイング747?400、767?200、エアバスA300?600などのシミュレーターが、順次その使命を終え撤去されることになっている。

 ジャンボの操縦室内に入る。無数の計器が並び、窓の外は滑走路が延びる空港風景だ。実機と違うのは、操縦席後方にある教官卓。ここでさまざまな訓練条件を設定する。気象条件、昼と夜、突発的なトラブル??。また風景は、羽田、成田をはじめ国内外の空港が設定可能だ。

 エンジニアによる操縦を見学する。羽田空港C滑走路を北向きにテークオフ。ゴーというエンジン音、東京タワーやレインボーブリッジなどの風景も詳しく表現している。「本家」だけあって、ゲームセンターやパソコンソフトのシミュレーターとは臨場感が違う。しかし何より実感を高めているのは、実物通りの計器・スイッチ類とともに、揺れや加速度などの「体感」だ。操縦席後方でカメラを構えて立っていると、衝撃の強い場面では吹っ飛ばされそうな揺れに襲われた。

 ふと、画面が真っ白になり揺れも止まった。教官卓の操作で飛行状況がリセットされたのだ。エンジン推力を操作するスラストレバーが自動的に元の位置に戻っていくのが面白い。次の設定は「夜の着陸」。闇の中、着陸誘導灯がネオンサインのように美しく伸びる。エンジニア氏は、手指の細かい動き、優しいタッチで操縦かんを操り、「巨大な機体」を滑らかに着陸させた。素人目にも、実にうまい。

 「みんなうまいですよ。私も、若いころは1時間でも2時間でも。パイロット以外で、こんな大きい飛行機を“操縦”できる職業はそうそうないですからね」。この道35年のベテランエンジニアが笑う。もちろん、好きだからといって遊んでいるわけではない。飛ばすことで機器や情景のチェックを常に行う。そして何より「パイロットと話ができなければ務まりません」。パイロットが実機同様に訓練できるよう、操縦の実際を熟知した上でシミュレーターをセッティングすることが求められるのだ。

 実機でないとはいえ、実際のパイロット訓練はハードだ。1コマ4時間。雪や嵐などあらゆる気象条件、視界ゼロの計器飛行、「突然エンジンが停止」「火災発生」??といった緊急事態などを、入念に訓練する。終われば汗だくだ。乗客の命を預かるための訓練だけに、シミュレーターエンジニアも整備に余念がない。飛行機の原理をはじめ、装置を制御するコンピューターのハードとプログラム、装置を動かす動力系統??など総合的な知識・経験が問われる業務だ。

 ◇窓からの景色はなかった

 日航のシミュレーターの歴史は、1960年代の「リンクトレーナー」に始まる。一見、遊園地の乗り物のような訓練装置だった。その後、大型プロペラ機のDC?6B、初のジェットDC?8用に、それぞれ真空管式コンピューターで実機操縦室を模したシミュレーターを導入。ここまでは「窓の外の景色」はなかったが、70年代に入り「模型式ビジュアル」が装着された。15×5メートル、縮尺2000分の1の巨大なジオラマを作り、小型テレビカメラを這(は)わせてシミュレーターのスクリーンに投影する。先述のベテランエンジニア氏は、この模型作りからキャリアをスタートした。「カメラの前にハエが飛んでくると、パイロットの前に巨大に映ってびっくりしたりしてね」。コンピューターグラフィックス(CG)のない時代だった。

 やがて、デジタルコンピューター制御、CGビジュアルの現在の形式に。ビジュアルは天井に3?5台のプロジェクターを乗せて、操縦席前方の巨大な1枚の球面鏡にパノラマ映像を映し出す。このほど引退するやや古い型のシミュレーターは、映りかたに微妙なずれがあり、調整が難しかったという。「訓練仕上げの大事な審査のときに、装置の不調で“尻もち”をつく飛行になってしまい、後でパイロットに平謝りしたこともありました」。最新式のものは動作に対する反応もよくなり、また本体を動かすのも油圧から電気式に変わって、メンテナンスが楽になりコストダウンが図られている。

 実機が退役すれば「お役ご免」となるシミュレーター。しかし単なる装置にとどまらず、パイロットやエンジニアにとっては実機同様、文字通り運命を共にする「盟友」のように思えた。ふと目に留まった、シミュレーター内部後方に張られた安全祈願の神社のお札が、それを象徴しているようだった。【佐々木宏之】


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